TOP > バックナンバー > Vol.11 No.7 > 先進ガソリン機関技術 Ⅲ・Ⅳ
柿沼(SUBARU)ら(1)は新型水平対向1.8L直噴ターボエンジンの燃焼技術について報告を行った。熱効率向上のためリーン燃焼技術を主軸に熱マネジメント技術等を開発し、λ2.0を超えるリーン燃焼を可能としている。更にフリクション低減アイテムを導入することで、最大正味熱効率40%超を達成したとのこと(図1)。安定したリーン燃焼を実現するため、タンブルによるガス流動強化やセンターインジェクション方式を採用した着火アシスト燃料噴射による弱成層化を行っている(図2)。この着火アシスト燃料噴射については、後述の講演にて詳細説明がある。リーン燃焼による、更なる高効率化に期待したい。
松田(SUBARU)ら(2)は前述した着火アシスト燃料噴射による弱成層リーン燃焼について報告した。本稿では、図3に示す三つのリーン燃焼方式を検討している。点火時期直前に微小のアシスト燃料を噴射する弱成層燃焼は、均質燃焼に対して排ガス悪化の影響を抑えつつ、広範囲でリーン燃焼が可能になるという(図4)。着火アシスト噴射量が過大になるとNOxとPNの排出量が増加する。逆に過小となると燃焼安定性が悪化する。製品ばらつきや経年変化によるNOx排出量と燃焼変動のばらつきを抑制するため、λを補正するNOxフィードバックを導入している。リーン燃焼技術とNOx低減技術の進化が期待される。
Katsumi NOGUCHI (JSAE ER Editorial Committee / Honda Motor Co.,Ltd.)