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軽自動車EVは主な使用目的が都市内利用であるので、重量増による電費悪化と車室空間を考慮して、現実的な電池容量にとどめる必要があるが、たまに必要となる長距離走行が難しいことがネックとなる。千葉ら(1)は、小容量電池で長距離移動を可能とする実用的な手法として、走行/急速充電の繰り返しによる電池の蓄熱を抑止する電池冷却方法と、発熱を抑制出来る急速充電方法について述べた。一般的な電池パック底部の冷却ではパックの上部の放熱が不充分で高温になり充電電流の抑制が必要となる。そこで図1のようにラミネートセル2枚毎に銅製放熱板を設け、端面(高圧電気端子のない片面のみ)に設置した冷却ユニットで放熱することで、均一な放熱を可能とした。この放熱能力で、100km/hで充電警告灯点灯時まで走行後、30分の充電を繰り返した際の温度制約を加味した充電電力量を50,40,30kWの3レベルの充電で模擬した結果、30kWでの充電が繰り返し充電でも影響がなく実用的であるとしている。シャシダイナモメータ上での走行/充電の繰り返しの結果で電池温度も安定していることを確認している(図2)。
そのほか、特徴的であった課題について、概要のみ紹介する。
丸地ら(2)は、稼働電池の充電電圧、放電電圧データの平均値の差から電池の健全度を評価する既発表の方法(3)の続報として、既発表と異なる環境温度での稼働データの処理結果について紹介した。同種の電池ではあるが仕様の異なる組電池の新たなEVバスで、15℃以上低い環境温度、半SOC状態が多い使用環境のものを、電池の直/並列数を勘案して1セルに、充放電時の電流率を勘案して1Cの状態で正規化して、
既報の結果と比較した(図3;Data Aは既報、Data
Bが新規)。同一の電池モデルによる推定にも拘わらず、新しい組電池のSoHの方が低くなった原因について、電池温度の測定点の不適によって実温度が反映されていない可能性があるとしている。同一のシステムでの比較では問題ないものの、異なるシステム間の比較の成否を左右する正規化方法等は今後の課題である。
HEVで一般的な、空調された車室の空気で電池を空冷するシステムでは、ブロアを排風側に設けて車室内の騒音低減を図る例が他のセッションを含めて3件あったのは興味深い。このうち村田ら(4)は、コンパクトさを要求されるHEVの電池パック(図4)のこの空冷方法で、各セルの温度を均一にする方法として、セル間の流路口の面積を調整して圧力損を平準化することで、配風のばらつきを70%から20%に削減し、温度を均一化した(図5)。なお、このセル間距離は、電池劣化によるセルの膨張も考慮して決定されている。
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